ソリティアについて

ソリティアの基礎的なごとがらを書き連ねたページ。随時更新。

ソリティアの種類

ソリティアはひとりで遊ぶゲームである。多くの場合、説明はそれだけで十分だ。この「ひとりで遊ぶ」というシンプルで明快な観点を、あえてここではもう少し細かく分類してみたい。

  • ひとりでのみ遊ぶソリティア

    ひとりで遊ぶルールやコンポーネントだけが用意されているゲームである。ほとんどのゲーマーは、単に「ソリティア」と聞くと、このタイプのゲームを思い浮かべるだろう。プレイヤーの対戦相手はゲームシステムであり、その目的は、ルールで定められた勝利条件を達成することか、あるいはひとりでプレイすることそれ自体となる。

    これと似たような遊びに「パズル」がある。ソリティアの中には、このパズルとの境界があやふやなゲームも確かにあるが、一般に、パズルの目的は正答であり、それが固定されているのに対して、ゲームの目的は勝利であり、それが条件として設定されているという点にある。

    この定義にはいずれも例外や複合があり、多くの反例が返ってくるだろう。だがこの記事は、それらの境界を厳密に定めることが目的ではない。本サイトで言うところの「ソリティア」とはゲームのことであり、純粋なパズルは扱わないということだけを心に留めおいてほしい。

  • ひとりで遊ぶことが主体で、複数で遊ぶ方法が別に用意されているゲーム

    ひとつのパッケージにソリティアと複数対戦用ルールが用意されているものである。特にウォーゲームでよく見られるのは、ソリティアがベースで、それに2人用ルールも用意されているようなケースだ。複数で対戦させるルールを兼ね備えたゲームには、対戦相手をゲームシステムから別のプレイヤーに置き換えるか、あるいは複数プレイヤーによってひとつの勝利条件の達成速度や貢献度を競わせるか、そのいずれかが多く見られる。

    対戦相手をゲームシステムから人間に置き換えるようなルールで構成される場合、置き換えたサイドのプレイヤーに何らかの制限が加えられたり、勝敗条件の調整が行わたりすることがある。ゲームシステムとしての対戦相手は、ルールに定められたアルゴリズムに沿って(半)自動的に行動させるが、それを人間がコントロールすることで行動の自由度が高まり、結果としてそちらが有利になりすぎたり、あるいはアルゴリズムだけでは生じなかった矛盾が起こったりするためだ。

  • 複数で遊ぶことが主体で、ひとりで遊ぶ方法が別に用意されているゲーム

    このケースには幾つかの種類がある。ここでは2つの例を挙げる。

    ひとつは、ルールや基本的な戦術を習得するための手段としてソリティアルールが用意されているゲームである。そのような「学習用」のソリティアは、そのゲームを円滑にプレイすること自体が目的の大半で競技性(勝敗)が問われないため、ルールのみで勝利条件が設定されていないこともよく見られる。

    もうひとつの例は、3人以上でプレイするゲームで、最大プレイ人数よりも少ない人数しかそろわなかったときのためのルールが用意され、それにプレイヤーがひとりでもプレイ可能なようにサポートされているゲームである。これはそれほど数が多くないが、最近では GMT 社の COIN シリーズのゲームが、大体そのようになっている。

    一般に、競技性の高いソリティアが用意されているゲームでは、主体が対人戦であったとしても、ソリティアはそれとは別の考え方に基づいた、独立性の高い遊び方であるため、元のパッケージではなく、後からそれが提供されることがしばしばある。。

    例えば拡張セットでソリティアルールがサポートされたり、ウェブサイトや雑誌などのメディアで追加のソリティアルールが発表されたり、あるいは、ファンがソリティアルールを自作してそれを公開したりするようなケースが実際に見られる。

ソリティアを複数で遊ぶ

ソリティアのルールはルールブックに書かれている。そこに記述されているのはプレイヤーひとりでの遊び方である。ここでは、そこを少し工夫して、複数でソリティアを遊ぶ方法について考察する。

  • 複数で協力して遊ぶ

    プレイヤーはひとりではなく、2人(あるいはそれ以上)で相互に協力しながら、通常の勝利条件達成を目指す遊び方である。

    これは協力ゲーム(Co-operative Play)のような遊び方ともいえるだろう。実際、ソリティアの中には、複数で協力しながら勝利条件を目指すバリアントがルールで用意されているゲームも存在する。

  • デュプリケートゲームの対戦相手として

    Photo by felo

    同じソリティアを人数分用意し、同じ場所に持ち寄って同時に別のゲームとしてプレイし、その中で最も成績の良いプレイヤーを勝者とする遊び方である。

    ※厳密に言えば、これだけではブリッジのような『デュプリケート』にはならないが、便宜上そのように書いた。

    これは、プレイ時間が短時間で、勝利条件が目標の達成そのものではなく、ポイントや達成度など数値的な指標となっている技巧的なソリティアに向いている。

  • 対戦を前提とした研究として

    作戦研究やルールを十分に把握する手段としてソリティアを利用する方法である。遊び方というより、ソリティアの有効活用方法といえる。

    なおゲームによっては、最初からそのような目的のためのオプションやシナリオが用意されていることもある。

    ルールでソリティアがサポートされていない場合でも、一人二役、あるいは何役でも仮想の対戦相手を想定してプレイすることも可能なゲームもあるだろう。

    一般に、そのような事前の仮想戦はプレイングを上達させるには良い手段となる。ただ、更に競技性をも求めるのであれば、明らかにソリティアには向いていないタイプのゲームもあることに注意しなければならない。

    例えば、外交交渉や心理戦が中心だったり、物語を作るなど即興的な創造性が高かったり、あるいはプレイヤーごとに多くの隠された情報(手札のカードやダミーユニットなど)を持つゲームなどである。このようなゲームでは、練習ならともかく、純粋な競技としてのソリティアを実施するのは困難であろう。

  • 進行役とプレイヤーに分かれて遊ぶ

    Photo by eklp fistronek

    プレイヤーがひとりと、それとは別にゲームに慣れたもうひとりが加わって、インストラクターとなる。インストラクターは、ゲームの進行や管理を担当し、プレイヤーの代わりに細かな手続きを代行する方法だ。

    ソリティアは、山札をシャッフルしたり、コマの(再)配置や移動、あるいはサイコロを振ったりすることなどは、他の誰でもないひとりのプレイヤー自身が行う。ルールを正しく適用したかどうかの判断も、同様にただひとりのプレイヤーが行う。

    なので、まだそのゲームに慣れていなかったり、手続きの多かったりするゲームでは、プレイ中にルールブックを何度もひも解くこととなり、作戦を考えることに没頭する段階にまでたどり着くまでには時間がかかってしまう。

    それらの苦難をインストラクターによって軽減してもらうということだ。これは間違いなく、ソリティアをプレイするには理想的な環境といえる。だが、ここで私が正直に告白するまでもなく、この方法を実現することが、極めて困難であることは誰でも容易に想像できよう。

    私はこの「インストラクター付のソリティアプレイ」をコンベンションで1回と、あるゲームサークルの月例会で1回だけ見たことがある。どちらもプレイヤーは本当に楽しそうだったし、インストラクターもプレイヤーを楽しませようとする姿勢で自分の役割を果たしていた。

    私自身、ソリティアのインストラクターになったことはまだない。しかしそれを見学したときの記憶は海馬の奥底に鮮明に残っていて、いつかそれを実現したいと願っている。そのことを忘れないために、ここに書き記しておいた。

ウォーゲームのソリティア事情

また、「ゲームはひとりでするか、それとも誰かと対戦相手とするか?」という質問を何度もしてみたところ、ゲームの50%以上がひとりでプレイされていることが明らかとなった。これは周囲に同好の士がそれほど多くないという事実によって部分的に説明がつくが、もうひとつの重要な理由としては、プレイヤーたちは他人に邪魔されずにゲームを研究することを好むという点があげられよう。
「ウォーゲームハンドブック」 ジェームス・F・ダニガン著 鈴木正一訳より

引用した「ウォーゲームハンドブック」は、原著が1980年刊(日本語の訳書はホビージャパンによって1982年刊)である。本書を読む限り、アメリカでのウォーゲーム環境では、少なくとも70年代後半には、ソロプレイを中心にプレイする一定の層が存在していたということが、統計的に裏付けられていたようである。

ウォーゲームのルールは長くて複雑であり、扱われるテーマのカテゴリも細分化されている。したがって、好みが同じゲームを長時間プレイすることができる対戦相手を見つけることは、ゲーム人口の多いアメリカであっても難しいことなのだろう。そういう事情とは別に、プレイヤー自身が全てコントロール可能なソリティアであるからこそ、これを好んでプレイする人たちも少なからずいるらしい。

そういうニーズがあるため、発売元によっては、ウォーゲームの外箱にプレイヤー数やプレイ時間の他に「Solitaire Suitability(ソリティア適正)」という指標が表記されていることがあるのは、これらの事情から自然の成り行きであろう。ユーロスタイルのファミリーゲームでは、2人用ゲームであったとしてもこの表記はまず見当たらない。ウォーゲームの愛好者にとってはこれは、ありふれた、そしてとても重要な指標となっているのである。

Solitaire Suitability (ソリティア適正) の表記例
Andean Abyss TENKA
「Andean Abyss (GMT)」のボックスに印刷された「Game Meter」。同社ゲーム共通表記である。本作は4人までプレイ可能でソロプレイルールもあるので、ソリティア適正は最高値となっている。 「TENKA (Victory Point Games)」のボックス裏。ユーロゲームでもなじみのある適正年齢・プレイタイムなどの他に、難易度とソリティア適正の指標がある。本作は手札を持つのでソリティアには向いていない。
It Never Snows Flight Leader
「It Never Snows (MMP)」のボックス裏。会社によって指標値の表記方法や基準は様々である。MMP社は、このようにシンプルな3段階評価となっている。 「Flight Leader (AH/HJ)」日本語版のボックス裏。本作は1986年製と古いゲームだが、このようにソリティア適正の指標が既にあった。

ソリティアのさがし方

ひとりで遊ぶことのできるゲームを探すのであれば、BoardGameGeekの強力な検索機能を利用しよう。これはAdv. Searchページで行う。
http://www.boardgamegeek.com/advsearch/boardgame

このAdv. Searchページの項目で、「# of Players Range」の2つあるセレクトボックスの数値を左右とも「1」に設定して「Submit」ボタンをクリックするだけだ。これだけで、よく知られたタイトルが検索上位に並ぶ(※表記は英語)。国内でも比較的入手のしやすいメジャータイトルであっても、ソリティアルールはよく知られていないか忘れ去られていることがよくあるため、あなたにとって新しい発見があるかもしれない。

Adv. Search

ただし、この方法では、BoardGameGeekの制限があって、その全てが表示されるわけではない。Adv. Search のページから、プレイヤー数だけではなく好みのカテゴリ(Board Game Category)やメカニクス(Board Game Mechanic)、あるいは最小の適正年齢(Minimum Age)等を追加して指定することで、あなたの好みのゲームに近づくよう絞り込むこともできる。

なお、上記の検索でヒットするのは、ひとり「でも」遊べるゲームである。ひとり「だけ」で遊べるゲームを検索するのであれば、Adv. Searchページの「# of Players Range」で、その右側のセレクトボックスにだけ(あるいは、左右とも)「1」を選択し、更にその右側にあるラジオボタンから「Exact (include games that only support exactly this range)」を選択して「Submit」ボタンをクリックしよう。これで、ひとりだけで遊ぶ「純粋なソリティア」だけが検索され、それらが表示される。

Adv. Search

プレイ環境をカスタマイズする

あなたがソリティアをプレイすることになったとして、プレイする場(プレイグラウンド)をどのようになるかを想像してみよう。対人ゲームでは、テーブルの両サイドや周囲に、椅子や座布団など人が座る場所を用意するのが普通だ。しかしソリティアで必要な椅子はひとつだけだ。プレイグラウンドは、プレイヤーが座っている方向から全体を見通すことができればいいので、使用するテーブルもダイニングテーブルのようなものでなく、例えば事務机でも問題はない。

BGGには、ソリティアのプレイ環境を作り上げた人たちの写真が幾つか公開されている。それらを見ると、機能性を追い求めているだけではなく、照明や小物で雰囲気作りにも力を入れるなど、思い思いの工夫が凝らされていることがわかるだろう。通常のテーブルゲームではまず利用されることのない机上に置く小型の棚が利用されていることもよくある。


Photo by teufen


もちろん、あなたが日常的に使っているテーブルがひとつあればそれでも十分だ。床にゲーム広て、寝転んで好きなお菓子を食べながらプレイすることさえソリティアなら選択肢となる(もっとも、食事しながらのプレイは、コンポーネントが汚れたり破損したりする恐れがあるので、決しておすすめはしない)。

これからあなたがソリティアのプレイ環境を作ろうとしているところなのであれば、可能な限り広い場所を確保することを優先した方がよい。ゲームにもよるが、ソリティアは意外と広い場所を占有するものが多いし、そうでなくてもその方が快適にプレイできる。それに、プレイグラウンドとは別に、手元には常にルールブックを広げてあった方が便利だし、そうするとある程度の広さが必要となるのだ。


ソリティアのボードゲームであれば、コンポーネントとしてパッケージに同梱されているコマやタイルなどは、それらと同じ機能が満たされるのであれば、汎用のゲームパーツと置き換えることも検討に値する。特にウォーゲームのソリティアは、木製やガラス製の汎用ゲームパーツを活用することで、効率的で見た目にも華やかなプレイ環境を整えることができる。


あなたの好みで、あなたの好きなようにプレイ環境をカスタマイズすることは、ソリティアの大きな楽しみのひとつなのだ。